1)温度条件 生育適温は22~30℃で、35℃以上の高温では先端不稔などの障害が発生しやすく、10℃以下ではほとんど生育しない。発芽適温は20℃~28℃で、45℃以上の高温や6℃以上の低温では発芽しない。
2)光条件
C4型植物であるので光合成効率が高く、日射量が多いほど光合成産物が増加する。乾燥は嫌うので水分が十分にあれば日射量が多いほど生産性は向上する。
3)土壌条件
最適土壌はpHは6.0程度であるが、土壌に対する適応性は広いのでpH5.0~8.0の範囲で栽培は可能である。根は深根性なので腐食に富み、土層の厚い団粒構造のよく発達した排水のよい土壌が望ましい。
4)水分条件
深根性で吸水力は強いが、葉面積が大きいので水分要求量の高い作物である。生育期間では雄穂の開花から受粉までの10日間ほどがもっとも水分を必要とする。一方、生育の初期は根が貧弱で多湿に弱いので水分は少なくてよい。
5)雄穂、雌穂の形成、抽出
雄穂と雌穂は同じ株の別の位置に形成される。雄穂は茎の頂部に着生し、雌穂は腋芽に発生する短側枝の先に着生する。雌穂は頂芽優勢によって上節位のものほど生長肥大し、雌穂として完全な機能を持つようになる。
6)開花、受粉、受精
雄穂が開葯し、花粉の飛散が行われると、その後1~3日してから雌穂より絹糸の抽出が始まり、受粉、受精が行われる。開葯が絹糸抽出より早いことから他家受粉率が高い。
同一の圃場内で受粉、受精が完了するには7~10日ほどを要する。
7)キセニアの発現
キセニアとは花粉の優性遺伝子が受粉した際にその胚乳の形質を支配する現象をいう。スイートコーンは黄色胚乳は優性遺伝子のY、白色胚乳は劣性遺伝子のyに支配されている。yy遺伝子をもつ白色品種は自家または同系の受粉ではすべての胚乳は白色となるが、YYの遺伝子をもつ黄色品種の花粉を受精した胚乳は黄色となり、1房のなかに黄色と白色の粒がモザイク状に出現してくる。白色品種を栽培するときは黄色品種の花粉飛散を避けなくてはいけない。ただ、この場合、スーパースイート系同士の交雑では糖度など食味を損なうことはない。
デントコーンやフリントコーンなどの飼料用、工業用のトウモロコシはスイートコーンの種子にキセニアの影響を与え、甘さなど品質の低下につながるので、これらの近くでの栽培は控える。花粉の飛散は200~250mに達するといわれている。 |