カネコ種苗ではイタリアンライグラス極早生~晩生の品種を取り揃えております。今回は、その中でも世界に先駆けて開発、販売となりました、F1ハイブリット・イタリアンライグラス『ライジン』の紹介をさせていただきます。
イタリアンライグラスとは、世界的に需要の多いイネ科の牧草です。国内では主に酪農、畜産農家が作付し、家畜のエサとして利用されます。飼料畑のほか、水田の裏作など、幅広く作られます。
その特性は、家畜に対する栄養価が高く、また、秋、冬の生育にとくに優れています。国内では、主に関東以西の温暖地において、秋、冬の中心的な牧草として作付されております。飼料作物の中でも、夏に作られる「トウモロコシ」とともに、非常に重要な牧草です。
イタリアンライグラスは、主に機械により収穫し、利用いたします。そのため、収穫のしやすさから、「直立して育ち」、なおかつ「倒れにくく」「高い収量性」を持った品種が望まれておりました。この特性を備えた品種として、開発されたのがF1ハイブリッド品種『ライジン』です。
『F1ハイブリッド品種』とは、現在、世界主要穀物である「トウモロコシ」や「野菜類」などで主流になっている交雑品種です。
これは、選ばれた両親を組み合わせる(交雑する)ことで、その両親を超える特性を生み出す『雑種強勢』という『組み合わせの力』=『ハイブリッドの力』を利用します。この『力』は、両親が遺伝的に離れているほど、大きく発揮し、収量性が非常に高まります。加えて、両親の良い特性を組み合わせることも可能で、また、選ばれた両親の決められた交雑をするため、形状や品質の揃いに優れた品種となります。
特定の両親を組み合わせない、集団内での自由な交雑による育種方法で生み出されたイタリアンライグラスの従来品種に比べて、『F1ハイブリッド品種』は、量や質にたいへん優れた品種といえます。
特定の両親を組み合わせる育種方法を使って開発したF1ハイブリッド品種『ライジン』は、『雑種強勢』=『ハイブリッドの力』により、従来品種と比べて根の張りが強く、倒れにくく、収量が10~20%向上します。また、片親に花粉を飛散させない親を使用しているため、花粉飛散量が約50%に抑えられ、学校、そのて、住宅地周辺の花粉症対策、環境対策としても利用が見込まれます。
『ライジン』の特徴として、国内で代表的な従来品種と比べ、写真のように直立して育ち、草丈が高く、高収量となります。また、揃いも大変良好です。さらに、倒れにくいという特性を持つため、収穫などの作業がしやすく、倒れてしまうことによる収量のロスや土の混入、腐れなど、品質の低下も防げます。
当社ではイタリアンライグラスの幅広いラインナップを取り揃えております。今後とも当社品種をご愛顧いただくとともに、ご紹介させていただいた世界初のF1ハイブリット・イタリアンライグラス『ライジン』の優れた特性を実感していただければ幸いです。