早く煮える秘密はやわらかい肉質にあり! |
ダイコンの肉質を決める要因の一つに細胞壁の性状が挙げられます。細胞壁とは細胞の外側に形成される被膜ですが、標準品種の細胞壁は輪郭がはっきりしており、厚く強固であるのに対し(写真1)、味づくりの細胞壁は比較的薄く、肉質が非常に柔らかいことが明らかになりました(写真2)。
さらに食品の硬さを測定する機器を用いてダイコンの加熱時間ごとの硬さを測定したところ、味づくりは急速に火が通り、標準品種よりも10~15分は早く煮えることがわかりました(図1)。 |
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見やせや煮崩れしにくく、ふっくらと炊ける秘密は繊維の入れ方にあり! |
ダイコンを縦に切ると、縦方向に透明度の低い筋のようなものが見えます。これは、根から吸収した水分の通り道である通導組織(導管)や植物体の強度を維持するための繊維組織です。標準品種では縦方向に太い筋がたくさん通っているのに対し(写真3)、味づくりでは縦方向の太い筋が少ないことがわかります(写真4)。ダイコンを加熱すると、これらの筋状の組織が収縮し、身やせや荷崩れが起こりますが(写真5)、味づくりはそれを引き起こす筋状の組織が少ないために、身やせや煮崩れしにくく、出汁をしっかり吸い込んでふっくらと炊きあがります(写真6)。 |
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味のしみやすさを味覚センサーで検証! |
実際におでんを調理し、味づくりがどれほど早く味がしみるのかを味覚センサーという機器で分析しました。その結果、味づくりは非常に短時間でダイコン内部に味がしみこんで、時間がたっても美味しさを逃さないことがわかりました。図3は味づくりと標準品種を同条件で加熱調味した場合、加熱調味5分の段階で、既にうま味を味づくりの方で高く検出し、その後の加熱調味においてもその傾向は変わらないことを示しています。まるでスポンジのように出汁を吸い込み、やわらかくふっくらと炊きあがる味づくりのおでんは、非常に美味しいことが味覚センサーの分析でも明らかになりました。数々の科学的検証で美味しさの秘密が明らかになった味づくり。今度はあなたの味覚で実証してください。 |
丸種株式会社